6月15日午後三時、南伊東にて。入梅したばかりだというのにまるで梅雨明け直後のような空。濃い山の緑もまぶしい。何ヶ月かに一度、南伊東に住む82歳になる母を訪ねる。南伊東は下田に向かって伊東からひとつ先の駅。隣の伊東は温泉客がいてにぎやかなのに対してここ南伊東は本当にひっそりとしている。昼間でも歩いている人は少なく、会ったとしてもたいていお年寄りだ。ここに私の母はひっそりと暮らしている。 以前は友人も多く、けっこう社交的な母だったけど、歳を取ってからは、出かけるとしてもほんの近所に買い物に出るくらいだ。毎回母の姿を見ると、無性にせつなくなってしまう。昔は秋なら「栗ご飯食べに帰っておいで!」とか、春なら「あんたが好きなたけのこ煮たから食べにおいで、、」などと言い、また私は東京からお弁当箱を持参し、帰る日の朝、学生時代のように私の好きなものばかりをつめてくれたお弁当を持たせてくれた。東京の部屋に帰ってそれを食べながら“私のおふくろの味ってこのお弁当かなぁ?”と、思いながら。そういう母も今はあまり料理を作ることもしなくなり、料理べたの私が夕ご飯を作って東京に帰ってくることもある。 時が経つということは様々なことが変わってゆく。 母の所から東京に帰るとき、ずっと見送っている母の姿を振り返ることが出来なくなってしまった。母は私が見えなくなるまでずっと私を見ている、それを見ることが私にはつらいのだ。
よく、歳を取ると静かな環境で暮らすことが一番、というようなことも言われるけれど、私の母にとってはこんなにひっそりとしたところよりも毎日誰かに会えたり、便利でにぎやかな環境の方がずっといいんだろうな、、そうは思いつつも今は何もしてやれない自分自身にもどかしさを覚える。 しかし、有難いことに82歳の母は今も特に病気をすることもなく、元気ではいるけれど、でも最近は、昔の母ではないことに複雑な想いを抱きながら南伊東をあとにする。時には母に対して強く当たってしまう私だけど、いつまでたってもここで子供たちを見守ってくれている母に感謝。 帰りは伊豆急のリゾート21の黒船電車。席の半分は海の方を向いていて快適そうなんだけど、実際乗ってみるとずーっと横向きで走るのでちょっと疲れるのだ、、
by f2kky
| 2007-06-16 10:13
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